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冬の装い

冬のファッションアバターが実装されましたね。
書かずにはいられなかったので、ちょっと妄想を具体化してみました。
相変わらずの未来予想図です。





クロモドに頼まれた薬草を採りに、アエルロトはグリンデルの西側へ来ていた。記憶に残る薬草の姿を思い出しながら摘んでいるが、季節柄か落ち葉に埋もれた新芽を探すのは少し骨が折れた。春はまだ遠いと実感させるものがある。
国の中は落ち着いたと言っても、未だ徘徊するモンスターが絶滅したとは言えず、クインシーを連れて行くのは危険と判断し、研究の残るクロモドを置いてアエルロト一人でこの場所へ赴いていた。
「…なかなか、数見つけるのは困難ですね。」
そんな独り言を呟きながら、手は休まず枯葉を退ける。そこを冷たい北風が吹きぬけて行った。
「…ッ。」
思わず身を屈める。着てきたジャケットは防寒には不向きだったか、濡れた落ち葉をかき分けているせいか指先が悴むのをぎゅっと握ることで耐える。
さすがに何か厚手のものでも取りに行こうかと、足に力を入れたところで上から柔らかな圧力がかかった。
「?!」
それはとても暖かみがあって、アエルロトを冷たい風からまるで遮断するようだった。
「そんな薄着で出ていたのか。いつもは気を掛けるあんたらしくないな。」
「クロモドさん…ッ、研究は…。」
「先程一段落ついたんでな。それより上着を持って行っていなかったようだったから、他の材料を採るついでに持ってきた。」
アエルロトの肩にかかっているのは錆浅葱色のコートで、どこか見覚えのあるものだった。首許にはマフラーもかかっていて暖かさが倍増している。
「これは…。」
「あんたに昔やったマフラーと、その時に買った私のコートだ。多少大きいがサイズ的には問題ないだろう。」
「そう…でしたね…。」
アルニカを訪れたころだったか、たまたま街頭で見かけたコートを気に入りクロモドが購入しているのを見て、同じ店でアエルロトもジャケットを買った。それだけでは寒いだろうと見かねたクロモドが、マフラーを買ってくれたのだ。
当時、クロモドが使えばいいのにと言うアエルロトに、素直に受け取れ、私はコートだけで十分だと押し付けられたことがいまだに鮮明に思い出される。
そんなクロモドは今、最近購入した藍鉄色のコートを着ている。
「暖かいです…」
「風邪などひかれたら、またあの連中に何を言われるかわからんからな。」
そう言ってため息を吐くクロモドの優しさが垣間見えるから、アエルロトは目を細めた。溜息に紛れた落ち着けようとする呼気の乱れは、魔法を使ってまで探しながらここまで走ってきたからだとわかる。
「さっさと探して家へ帰るぞ。」
そう言って差しのべられた手を拒む術など、アエルロトにはなかった。




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プロフィール

HN:
サキ
性別:
非公開
自己紹介:
サーバー:アテナ
遠征隊名:非公開
宛もなく流離う放浪者
クロモドとアエルロトが好き過ぎる人です

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