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銀の糸が紡ぐ話。

クロモドくらい髪の長い時期がありまして、その時どうだったかな。
と思いだしたりしました。




目の前を揺れた髪の反射が、少し足りない気がした。
「クロモドさん。」
「なんだ。」
「ちょっと、よろしいですか?」
「ああ。」
急いでいるわけではなかったのか、アエルロトが掌でソファを差すと、クロモドは手に持っていた本をテーブルに置き腰を下ろした。
「やっぱり…。」
クロモドの背後に立ち、髪を手に取って知るその状態。毛先がだいぶ乾燥して痛んでいた。
「なんだ、髪がどうかしたのか?」
「あまり手入れされていないでしょう…、痛んでいますよ?」
「気にしたことはない。」
クロモドの言い分に、アエルロトは少し笑った。髪は邪魔にならない程度に括っているだけで、あまり拘りがないのはわかっていたが、まさかここまでとはとアエルロトは自分の荷物から櫛を取り出す。
「お時間があるようでしたら、少し手入れさせてください。せっかくの綺麗な銀色がもったいないです。」
「…好きにしろ。」
そう言うとクロモドはテーブルの上の本を読み始めた。アエルロトは木製の櫛を手にすると、クロモドの髪を解きゆっくりと梳き始めた。
「ここの所忙しかったですからね…。」
呟きながら何度も繰り返していると、心なしか髪に艶が戻ってきた気がする。少しほっとしながら、髪を梳き続けると、目の前の頭が急に傾いで驚いた。
「…っ。」
髪を引いてしまわないように思わず手を離すと、肩の力が抜けて落ちている。本を支えていた手は添えているだけでその重みで落ちそうになっていて手を伸ばした。手からそれを抜き取ってもクロモドが目を覚ます気配はなく、相当疲れているのだということを示していた。
「……。」
アエルロトは本に栞を挟んで閉じると、寝室から毛布を持ってリビングへと戻る。肩口からかけてから満足そうに頷いた。
それからクロモドが読んでいた本へと手を伸ばす。柔らかな日差しが窓から射し込んでいて、部屋を暖かくしてくれていた。

それから数十分後、クインシーが通りかかって足を止める。
「二人ともこんなところで寝たら風邪ひくわよ?」
そんな声に応えるのは、
「わぅ~?」
気の抜けたアルポンスの声だけだった。

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サキ
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自己紹介:
サーバー:アテナ
遠征隊名:非公開
宛もなく流離う放浪者
クロモドとアエルロトが好き過ぎる人です

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